SDGs(持続可能な開発目標)とは
2015年に国際連合サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に定められた17の目標が、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)です。
2030年までに解決すべき国際的な課題とゴールを定めた世界共通の目標であり、世界各国がその実現に向けて取り組んでいます。
ホテル・サン防府の取り組みについて
「快適空間」を掲げるホテル・サン防府は国連のSDGsに共感し、環境にやさしいアメニティの提供、食品ロスの削減、プラスチックごみの削減などをおこなってきました。
一方で地球規模では、温暖化の急速な進行による気象の激甚化が進み、カーボンニュートラル(温室効果ガスの実質的な排出量ゼロ)への貢献が「経営の持続化」の大きな課題と認識されています。
当ホテルではこの課題を見据えて、私たちにも実現可能な取り組みを模索。「宿泊施設の高付加価値化等支援事業補助金(令和4年度)」および「山口県中小企業者等向け省・創・蓄エネ設備 設置補助金(令和5年度)」を活用することで、本館と事務所棟の屋上に各20枚(計40枚)の太陽集熱器を設置した「太陽熱利用システム」を導入しました。お客さまの快適性を損なわずにCO2排出量を削減することで、ホテル・サン防府は「持続可能な社会の実現」に参画していきます。
太陽熱利用システム導入で
スギの木 約2,000本分相当のCO2削減を実現
太陽エネルギーの有効利用
屋上に設置したのは「真空ガラス管型」の太陽集熱器。一般的な太陽光パネル(平板型集熱器)とは異なり、集熱部に通水することなく、熱交換によって水を温めることができます。 円筒形構造のため、朝・昼・夕のあらゆる角度からの日射も効率よく集熱。太陽熱利用のエネルギー変換効率は40~60%あり、通常の太陽光発電の7~18%と比べ、高いエネルギー変換を実現します。
大浴場「ひだまりの湯」や全客室への給湯に利用
当ホテルは太陽の熱で温水をつくり、給湯に利用しています。
蓄熱槽から循環ポンプで屋上に供給された水は、太陽集熱器で加温・昇温されて再び蓄熱槽へ。このサイクルを繰り返すことで、蓄熱槽の温度が上昇します。こうして温水として蓄えられた「熱」を、熱交換器を介して大浴場・客室に熱供給します。熱交換器を用いることで循環水が直接供給されることがなくなるなど、水質の衛生面にも配慮したシステムとなっています。
ホテル全館で約2.8トンのCO2排出量を削減
一年中、ほぼ休みなく給湯需要のある当ホテルでは、上記のような太陽熱の利用が最も効果的です。
今回設置された太陽熱集熱器の年間集熱量は約372ギガ・ジュールとなり、大浴場や客室への給湯・加温に使用されるLPガスを約4,000立方メートル削減、CO2排出量では約2.8トンを削減します。これは、スギの木 約2,000本が1年間に吸収するCO2量に相当します。
※削減量は、メーカー提示データに基づいた試算による。
※スギの木1本あたりのCO2削減量=14kg、年で計算。
省エネ診断等でお世話になっているエネルギー管理士の井本氏に、
支援機関・専門家の立場から一言、コメントをお願いしました。
地域のカーボンニュートラルの
先駆けとして
一般社団法人エネルギーマネジメント協会
エネルギー管理士
防府商工会議所 事業環境変化対応アドバイザー
井本浩嗣氏
太陽エネルギーの利用では太陽光発電が注目を集めていますが、太陽の熱を直接使って温水を作り、給湯に利用するシステムはシンプルで、サステナブルな技術です。ホテル・サン防府は大浴場が人気であり、高温集熱に有利な真空管型集熱器の導入は最適なシステムでした。
さらに設備導入に補助金を活用されたことで、投資採算性が一層良好になりました。ホテル・サン防府が、地域のカーボンニュートラルの実現の先駆けとして、今後も貢献されるものと確信しています。
本館と事務所棟に設置した各20枚(計40枚)の太陽集熱器